隠れ過ぎた名作百合アニメ、戦国コレクションを布教したいっっ! 後編
「GYAO」で2019年7月11日まで全話無料で配信中のアニメ「戦国コレクション」。今作は戦国世界から現代へと転移してきた女体化戦国武将たちが、「自分なりの生き方を見つけていく」ことがテーマの作品です。
基本的に一話完結のオムニバス形式で進行する作品なので、どこからでも見られる本作ですが、「どうせなら面白い回から見たい!」という方のために、オススメ回のあらすじや魅力をつらつらと書いていきます。
第1話~第13話までは前回の記事で書いております。
この記事ではOPとEDが変更される第14話から第26話(最終回)までを書いていきます!
駆け引きと騙し合いが熱い、心理戦と戦略が見所な第16話と第23話!
足利義輝と柳生石舟斎、二人の姉妹弟子百合感情が魅力な第16話!
第5話の主人公である塚原卜伝を剣術の師とする、義輝と石舟斎がメインとなる第16話。
義輝は幼い頃、石舟斎に激辛お菓子を騙され食べさせられたことへの復讐を行うべく、千利休を通して石舟斎を女子会へと招待する。
義輝主催の女子会で、二人は激辛料理を相手にだけ食べさせようと権謀術数を張り巡らせますが、お互いを知り尽くしているが故に決着がつきません。
そこで二人は「ひとつずつ順番にケーキを食べて、先に激辛ケーキを食べた方が負け。勝者に戦国世界へと戻るための鍵になる秘宝を差し出す」というゲームを始めます。
そのとき、秘宝をあの手この手で集めている織田信長が現れ、二人の秘宝を奪おうとします。
その危機に義輝と石舟斎は一時的に共闘することを決め、前述のゲームを信長を加えた三人で行うことに……
見所としては、仲が良いのに素直に慣れない……そんな義輝と石舟斎が、お互いを本当は強く想っていたことを告白するシーンでしょう。
戦国世界に戻れるのはただ一人であるという制約を知っているが故に、別れを意識する二人が尊くて、とても良いです。
心理戦物として見ても、24分という短い尺の中に、勝負に至るきっかけ、そしてゲームの推移をスピーディーかつシンプルにまとめているので、そこも見所でしょう。
義輝と石舟斎は第5話において準主役級の活躍をしているので、先にそちらを見てからの方がより楽しめるかもしれません。
余談ですがその第5話は前回の記事でオススメとして紹介しておりますので、是非とも合わせてご覧ください。
貴重な時間を割く価値があると思います。
幼稚園のお砂場を巡る覇権争い! 戦コレ中最も戦国らしい第23話!
戦コレの中で私が特にオススメの回が二つあり、その内のひとつが尼子経久を主人公とするこの第23話です。
公式で配信していたニコニコ動画において、最も再生回数が多いのは常時無料の第1話です。では、その次に再生回数が多いのは何話でしょうか? そう、この第23話です!
第1話から続けて見るであろう第2話や第3話ではなく、終盤に位置する第23話が再生回数2位であるということが、なによりの品質保証でしょう。
あらすじは、経久は幼稚園のお砂場で巨大な砂のお城を建てることを夢見ています。
しかし彼女が目指す砂のお城の建築期間は三日。それだけの期間、お砂場を経久の欲望のままに占有することはできません。
お砂場は幼稚園にある遊具の中で唯一、創造性のある遊びが可能なため人気が高く、おまけに三つの組織立った園児の集団がお砂場を分割統治しているという有様。
あまりに困難な状況の中、経久は圧倒的な知略と人徳だけを武器に、お砂場戦国時代へと果敢に斬り込んでいきます。巨大な砂のお城を建てるという野望を胸に……
見所は経久や、敵対する組織の長である幼稚園児たちの、大人顔負けの駆け引きでしょう。戦略を練り、人心を掌握し、己の夢を賭けての騙し合いを行う……これ以上の説明は無粋になるので、素直に見ましょう。
お話としての完成度が高過ぎる! 第21話!
特にオススメの回が二つあると言いましたが、その二つ目が、武田信玄を主人公とするこの第21話です。
強力な兵器を搭載した人工衛星を司る人工知能ヴィスナー9000が突如人類へと反旗を翻します。
人類滅亡まで残された時間は残りわずか。地上からの攻撃は間に合わず、ただ死を待つばかりとなった人類へ、突如人口衛星内部から通信が入るのです。
通信相手は武田信玄。戦国世界から現代へと転移してきた彼女のスタート地点は偶然にも、ヴィスナー9000の本体が存在する人工衛星内部だったのです。
信玄はヴィスナー9000による支配を免れた、電子ポッドの見た目をした旧式のサポートロイド・フサード29と共に、機械による人類滅亡の危機へと立ち向かうことに……
人類と人類滅亡を目指す機械との戦い。そんな危機的状況の中で育まれる、人と機械の絆。悪く言えばありふれたテーマですから、これだけでは人を惹きつけるだけの魅力足り得るとは思いません。しかし、このお話は凡庸なテーマを傑作へと昇華させることに成功しています。
24分というあまりにも短い尺の中で、信玄とフサード29の即席バディの魅力と関係の積み重ねを丁寧に書く、緻密で計算され尽くした秀逸な脚本と構成。
人工衛星内部というロマン溢れるローケーションを生かした、世界観や台詞回し。
一つの短編アニメとして、これだけのクオリティーの物を見つけるのは困難でしょう。
ラストは美しい余韻を残して終わり、最初にこの回を見たときは、EDが始まると同時に、とても寂しくなり、もっと二人の冒険を見たいと願ってしまいました。
この終わり方が完璧だと思いますが、やはり私は物足りなさを感じました。
満足度が低いから物足りなのではなく、満足度が高すぎて、そして二人のことが好きになりすぎて物足りない……
私は面倒な性格をしているので、作品としてはこれが完璧だとわかりながらも、二人の冒険の続きを求めてしまう……
蛇足になるとしても、信玄とフサード29を書いた二期を作って欲しいくらいなのですが……そもそも戦国コレクションそのもののメディア展開的に希望がなさそうなのが、辛いですね……
終わりに
他にもオススメの回はあるのですが、書ききれないのでこの辺りで。
背景が油絵風に書かれ、音楽が一度も流れないことで、陰鬱だけど美しい第18話。
百合ブログ的なオススメとしては、伊達政宗と片倉小十郎の主従百合が見所の第22話。家政婦として働いている劉備が、偏屈なお婆ちゃんのお友達になる第17話も百合的に美味しいですね。
戦国物なのに三国志のキャラがいるのは、気にしたら負けです。
紹介文を書いていて思ったことは、面白い作品ってなにを書けば良いのか、よくわかりません。難しいです。「見て!」で終わってしまう。
詳しく書き過ぎるとネタバレになるし、書かなさ過ぎると魅力が伝わらない……
紹介記事を普段書かないこともあり、私の記事はそのバランスが良い塩梅になってはいないかもしれません。それでも作品への愛はあるつもりです!
もっとプレゼン力を鍛えておけばよかったと後悔していますが、一朝一夕で身につく能力でもないですし、こればかりはどうにもならない……
なんとも言えない締め方ではありますが、一人でも私の記事をきっかけに戦コレを見てくれる方がいらっしゃれば嬉しく思います!