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二つの『普通』を積み重ね、至った、たった一つの『特別』 BLUE REFLECTION TIE/帝 クリア後ネタバレなし感想

 『BLUE REFLECTION TIE/帝』(以下ブルリフT)の過去作であるゲーム『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』(以下ブルリフ幻)とアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』(以下ブルリフR)。どちらの作品も知名度はさておき、世間の評判は高いものの、総合的にはどちらも普通の出来であるというのが、私の素直な感想だった。

 少し言い方を変えると、ブルリフ幻にしろブルリフRにしろ《魅力が特定の部分に特化している》反面、《それ以外の要素の完成度が低い》。

 例を挙げると、ブルリフ幻であれば《学生生活の透明感ある世界を彩る背景や音楽。そして人の集合的無意識が具現化した異世界の美術》が極めて高いレベルで洗練されていた一方、《RPGとしてはレベルアップが事実上存在せず、戦闘システムも凡庸で難易度が低く、洗練されていない。ストーリーは人類滅亡の危機を防ぐ内容でありながら、それを感じさせる描写が存在しないこと》などの要素で、ゲーム全体の完成度としては低いと私は感じた。

 ブルリフRであれば《登場人物同士の関係性の描写。敵組織の幹部である少女たちの性格や過去が強烈で印象に強く残る》といった要素が極めて優れていた一方で、《盛り上がりが遅い。主人公二人が特別な繋がりを得るのが唐突》などの理由で、物語にライドするのが難しかった。*1

 以上のように、ブルリフ幻とブルリフRは《極めて優れた部分》と《極めて劣悪な部分》が打ち消し合い、《総合的には普通の作品》である、というのが私の感想だ。これがタイトルにある、《二つの『普通』》の意味するところである。

 では、ブルリフ幻とブルリフRの続編であるブルリフTはどうかというと、私の主観では《極めて優れた部分》だけで構成された作品であると強く、強く感じている。少なくとも私にとっては《たった一つの『特別』》である。

 

 

 

 ブルリフTをどこから語るのが最適か、正直わからない。クリア直後の情熱と虚無感に任せて書いているのも手伝い、余計にわからない。というのも、今作はありとあらゆる要素が極めて高いレベルの完成度を誇っている。

 ブルリフTを構成する要素をざっくりと語るなら、《ゲームシステム》、《グラフィック》、《ストーリー》。この三要素であると思う。

 なのでこれらの要素を一つずつ、過去作と比較しながらどこがどう良くなったのかを軸にして、書いていきたい。

 

 

【洗練された各種ゲームシステム】

 

 

 過去作であるブルリフ幻とブルリフTの双方に共通する主なゲーム部分は二つ。《少女と少女の関わり》と《RPG要素》である。

 

《少女と少女の関わり》

 ブルリフ幻では主人公である白井日菜子が、ほかの女の子とデートすることで、ステータスを上げるポイントを入手する、百合ゲー的な要素である。世間ではここの評価が最も高い部分の一つであるのだが、私としては満足がいく出来ではなかった。

 デートイベントといっても、一枚絵の背景に、日菜子とデート相手の3Dモデルが並んで、当たり障りのない会話をして終了。という非常に味気ないものだった。

 デートを重ねると連続ドラマのようなイベントが解禁されるものの、それもワンパターンで当たり障りのない内容に感じて、正直あまり面白くは感じなかった。

 しかし続編であるブルリフTでは、ブルリフ幻での不満が全て消し飛ぶほどの完成度とボリュームになっていた。

 

 ブルリフTは、閉ざされた空間に存在する四方を海に囲まれた学校が舞台である。ここを拠点にしてダンジョンに向かったり、戦闘中に使用するアイテムを合成したり、ステータスを上昇させる設備を建築したりする。

 この学校でデートをするのだが、その完成度が百合ゲーとして、アドベンチャーゲームとして、図抜けている。

 ストーリーが進んだり、設備を建築するとそれに応じた相手とデートイベントが進行できるようになる。デートに誘える人物は九人おり、デートに誘うとその相手を連れて《学校を一緒に歩ける》のである。

 前作では一枚絵とテキストだけで進行していたデートイベントが、本作では一緒に学校中をどこでも自由に歩いて回れるのである。

 それもただ歩けるだけではなく、一階の廊下、二階の廊下、図書室etc ……学校のロケーションを通過する毎に、ストーリーの進行状況に合わせて、キャラ毎に、会話が発生するのである。

 ボイスがないのが少し寂しいものの、それも仕方ないと思えるほどの膨大な会話イベントが実装されている。それこそ、並みのRPGの会話イベントと同等の文量があるのではと感じさせるほどである。

 そのイベントもストーリー進行による心情の変化や、素材を集めて建設した設備への感想や、設備で一緒に遊んだりなど非常にバラエティー豊かであり、良い意味で当たり障りがある内容ばかり。おまけに選択肢による会話の分岐まで用意されている。

 デートイベントを重ねていくと好感度とスキルポイントが入手でき、それらが一定量に到達すると、ボイスありのイベントが発生したりもする。RPG的な成長要素とデートが紐付いているおかげで、設備を建築する動機付けまで行われている。

 ここで多少強調しておきたいのは、好感度が上昇するとデート中、ブルリフTの主人公である星崎愛央とデート相手が手を繋ぎ出すことである。

 この手を繋ぐモーションは、大作ゲームのような洗練された動きではないし、不気味の谷も存在している。それでも、ムービーではなく、自由に動き回れる状態で、自分が操作する愛央の動きに合わせて、キャラが近寄って来て、手を繋ごうとしてくる光景は感動的。

 《少女と少女の関わり》という部分に惹かれたのであれば、買っても後悔しないと思う。百合ゲーとして最高峰のボリュームと完成度が、確かに存在している。

 

RPG要素》

 

 次にRPG部分に関して。前作であるブルリフ幻は、よくあるATB(((FF的なやつ。もっと深く説明すると、時間経過に応じて行動ポイントが貯まり、それを消費することで各種行動を行うシステム)))の完成度が低い版のような感じである。

 平凡なATBシステムのRPGである上に、経験値やお金の概念がなく、戦闘しても得るものが素材だけなので、戦闘を行う動機がないのも手伝い、プレイしていて正直かなり退屈だった。全体攻撃を最速で打てば勝てるという底の浅さが、逆に良かったくらいである。

 そんな前作に対してブルリフTの戦闘は、極めて完成度が高く、とても新鮮だった。正直、私がこれまでプレイしてきたRPGの中で最も面白いと感じた戦闘システムは、今作であると断言できるほど、お気に入りである。

 具体的にどういうシステムかというと、言ってしまえばATBの派生なのだが、味付けが独特なのだ。今作に最も近いシステムを挙げるなら、オブティマの存在しないFF13だろうか。

 ブルリフTの戦闘システムの特徴は《加速》である。ATBとはつまり、時間経過に応じてゲージが溜まり、それを消費して行動を行うのだが、ブルリフTではそのゲージが溜まる速度が《技を使う度に上昇していく》のである。

 このゲージが溜まる速度の上昇量は技毎に決められており、上昇量が多い代わりに威力が低い技もあれば、威力が高い代わりに上昇量が低い技もある。そして、全体回復技や敵を確定で状態異常にするような非常に強力な技は、速度が上昇するのではなく低下するのである。

 ブルリフTには前述のFF13と同様、MPやTPのような技を発動するのに必要なリソースの概念が存在しない。今作のリソースは何かというと、速度である。

 速度が一定まで早くなると自動車や自転車のようにギアが上昇する。ギアが上がれば、ギアの高さに応じて使用可能な技が増え、性能が変化し、ゲージを貯めておける上限が拡張される。*2

 つまり加速していくことで、自身が強くなり、行動回数も増える。早くなることが最優先となるシステムなのだが、回復技や補助技の加速性能は抑え気味なので、回復を優先するのか、加速を優先して低い体力のまま戦うか。そのような駆け引きがある。

 しかし回復を優先してゆったりと加速することも難しい。敵も技を使うと加速していくので、敵の加速に追いつけなければ敗北する。

 このようなシステムなので、減速を伴う技を連発するわけにはいかない。減速すればギアは容赦なく低下し、技の性能は劣化する。おまけに減速するのだから行動回数まで減少する。

 この速度をリソースとして増やし、消費するシステムは、他の戦闘システムと複合することで更に深みを増す。

 攻撃を叩き込むとキャラクターには気絶値が蓄積され、いずれ行動不能になり、敵が気絶している最中に更に攻撃を仕掛けると必殺技が打てる。しかし気絶値は何か行動すると完全にリセットされるので、ギアを上げ、行動力を限界まで溜め、一気に放出することで気絶まで持っていくのが強敵攻略のセオリー……なのだが、この気絶値、キャラクターと前述した通り、味方キャラにも搭載されている。

 敵を気絶させようとゲージを溜めることに夢中で、逆にこっちが気絶させられていた……なんてことも慣れない頃はよく発生した。味方が気絶した場合のペナルティーは非常に重く、行動不能になるだけでも最悪なのに、速度まで大きく低下するので、敗北に直結しかねない。

 他にも攻撃をする毎にコンボが続いていき、敵の一部強力な技を受けるまでに15回コンボが蓄積すると必殺技が打てたりもする。

 このように、ブルリフTには攻めの選択肢が非常に多い。加速し、気絶させ、必殺技を打つ。加速し、攻撃を重ねることで必殺技を打つ。必殺技を打つまでのプロセスが二通り存在していることからも分かる通り、システムとして攻めが手厚くサポートされている。

 しかし守りの選択肢は貧弱そのもの……というより、事実上存在していない。RPGであればほぼ標準搭載されている防御コマンドすらないのだ。一部のキャラや装備で付与できる回復技や補助技以外に、守備の選択肢はない。システム側から守りが一切サポートされていないゲームは非常に珍しいように思う。

 

 

 

 ※ここから戦闘システムに関して若干のネタバレになるので、それが嫌な方は上記の目次欄から《グラフィック》の項目まで飛んでください。

 

 

 攻撃することに偏重したブルリフTのシステムは非常にスリリングで、どこまで深まっていくのかと非常に期待していたし、いまも次回作に期待している。

 このように書いているということは、この戦闘システムへの期待は終盤、唐突に裏切られた。

 中盤までは確かに今作のシステムは強く機能していた。全滅することこそなかったものの、戦略が嵌り、順調に加速し、気絶に追い込み、必殺技を打ち、撃破する。その爽快感は素晴らしかったのだが、終盤に入り、育成が進んだことで、この素晴らしいゲーム性は一気に破綻した。

 技毎に設定されている加速量を装備や施設、スキルツリーの拡張により上昇させられるのだが、それらの育成がある程度まで進むと、たった数回攻撃を打つだけで速度の上限、すなわち最高速度に達してしまう。このような状態では加速を優先するか、安全を重視するかの駆け引きが成り立たない。

 更に悪いことに、減速することを代償に強力な技を放つシステムのはずが、本来減速するはずの技でさえ、加速量を上昇させると減速量を上回り、加速してしまうようになる。もちろん、その加速は、最初から加速する技に比べると遥かに少ないものの、コストを常に踏み倒しているのだから、破綻している。

 戦闘中にバフや特定の条件をクリアしていくことで《減速する》というコストを踏み倒すのであれば構わないが、育成によっての踏み倒しはルール違反のように感じた。

 クリア後に解禁される高難易度はまだプレイできていないのでわからないが、少なくとも本編の終盤では、戦闘が作業感覚になってしまい、極めて素晴らしい戦闘システムを楽しみきれなかった。

 個人的な要望としては、加速量を上昇させる効果は控えめにするか、せめて絶対値を上昇させる形にすべきではないかと感じた。加速量はより大きく、減速はより激しく。そうすればまだバランスが取れていたかもしれない。

 もしもブルリフTに次回作が存在するのであれば、このシステムは既に完成していると感じるので、余計な味付けはせずに、速度をもっとリソースとして意識できるバランスにしてもらえると非常に嬉しい。*3

 

 

 

 

【美しく、洗練さたグラフィック。そして、表情豊かなキャラクター】

 

 最初に断っておくと、今作のグラフィックの美しさは、大作ゲームのような実写と見紛うような方向性ではない。キャラクターの表情の豊かさも、顔のシワや、筋肉の動きを感じ取れるような、生々しさを感じさせるようなものでは決してない。

 だからといって今作のグラフィックが美しく、キャラの表情が豊かであるという事実は、私の中で揺るがない。

 

《キャラの色彩豊かな表情》

 

 キャラの表情を先に述べると、大作ゲームが表情が変化する過程に豊かさがある動的なものであるとするなら、今作の豊かさは静的である。別の言い方をするなら、大作ゲームが映像としての表情変化とするならば、今作の変化は漫画を読んでいるかのようである。

 台詞を送ると、キャラクターはアヒル口になったり、目からハイライトが完全に消えたり、露骨に目を背けたり……表情が変化する過程にリアリティーはなく、浮かべる表情も過剰でさえある。しかし、だからこそ、可愛い。

 どの表情も可愛い。小さな仕草一つ一つが愛おしく思えるように計算され、そこに着地する。極限にまで萌えに特化していると例えても良いかもしれない。

 生々しく筋肉を動かしながらジト目をする。アヒル口をする。おそらく可愛くないだろう。逆に不気味だ。表情変化の過程が欠落しているからこそ作れる可愛さもあるのだ。

 

 前作であるブルリフ幻も表情は豊かだったように思うが、今作はそれを遥かに凌いでいる。もしかしたら前作と表情の差分自体は同じなのかもしれないが、多様な萌えに特化した表情が多いので、ブルリフTの方がより可愛く、印象に強く残った。

 この表情の豊かさは、今作に搭載されているフォトモードでも本領を発揮する。好きなキャラを好きなロケーションで、好きな位置どりで配置する。人によってはこれだけで数日は遊べるのではないだろうか。*4

 

《夏休みという概念を感じさせる、透明感のあるグラフィック》

 

 グラフィックの美しさも素晴らしい。実写的でないからこそ、幻想的で、透明感がある。今作のキャッチコピーに合わせるなら、透き通るような夏休みの味わいが、至る所に横たわっている。

 最初はたった四人しかいない、四方を海で囲まれた学校。終盤でも十人強しかいない少女たちだけが暮らす学校。それはまるで、夏休みの真っ只中で、無人の学校のよう。

 校舎を囲む海の青さ。校舎に差し込む太陽の日差し。校庭に出て空を見上げると、満点の星空が広がっている。

 校舎も、風景も、どれも実写的ではない。だからこそ、息が詰まる。現実ではないと目で見てわかるからこそ、夢に酔える。

 それは各々のキャラクターの深層心理を具現化することで生まれたダンジョン内においても同じ。ビルが水平に生え、街が水に沈み、星が浮かび、大地と大地を虹が繋ぐ。そんな非現実的な光景が現実のように思えるのは、実写のようなグラフィックでないからこそだと思う。

 

 

【ブルリフシリーズをまたにかける、極めて完成度の高いストーリー】

 

 既にこのゲーム魅力の大部分は語り終え、ネタバレを避けて語るのが難しいストーリーを残すのみ。ネタバレはしないように書いたつもりではあるが、ネタバレを極端に嫌う場合、ここで読むのを中断した方が良いかもしれない。

 一応ネタバレの深度について記しておくと、公式サイトやPVを見て感じ取れる印象までに抑えているつもりである。過去作からもキャラクターが何人も登場するが、過去作のネタバレも避けている。

 

《普通の少女が、かけがえのない特別を手にする物語》

 

 ストーリーはとても面白い。この面白さを構成する要素は主に二種類である。それは《ブルリフTが初登場のキャラや設定が絡まり合う面白さ》。もう一つは《過去作のキャラや設定が絡まり合うことによって生じる面白さ》である。

 どちらにも共通して言えることは、とても丁寧な作りになっていることである。ブルリフ幻にしても、ブルリフRにしても、どこか設定とシナリオがちぐはぐで、物語に乗り切れない部分があった。

 ブルリフ幻では世界の危機であるにも関わらず、それを感じさせる描写が一切存在しなかったし、ブルリフRでは強い繋がりがある者同士でしか発生しない現象が、仲良くなる前に発生したり。そうした部分が気になって、作品に乗り切れなかった。

 しかしブルリフTにおいて、そのようなことはない。丁寧に登場人物同士の絆の深まりが描かれ、世界観も掘り下げられ、自然と物語に乗っていける。世界観から振り落とされたり、キャラの心情に乗り遅れたりすることは一度もなかった。

 ただ、過去作のキャラは、過去作の出来事を踏まえた会話をしたり、悩んだりするので、ブルリフTがブルリフシリーズに触れる最初の作品となる方は乗り遅れてしまうかもしれない。

 しかし、物語の序盤に登場するキャラクターは全員、ブルリフTが初登場のキャラばかりなので、今作から入る人に強く配慮されたストーリー構成になっている。つまり、序盤を楽しむ分には問題ない。

 とはいえ、中盤からは過去作のキャラや設定、伏線が入り乱れるので若干辛い可能性がある。この部分がどれだけブルリフシリーズ初見の方の負担になるのかは、全作プレイ・視聴済みの筆者には判断不能ではあるのだが……一つ断言できるのは、やはりブルリフ幻をプレイしてから、そしてブルリフRを視聴してからの方が楽しめることは確かだということである。

 この記事がブルリフTの私なりの布教活動であることは、まぁ、察して下さっていると思う。なので、過去作をプレイしていなくても充分に楽しめると、完全に隅々まで楽しめると書く方が、プレイするハードルを下げ、布教に至るという目的に沿っている。しかし、その態度は不誠実だと思うので、それはしない。

 ブルリフTをプレイして何度も泣かされた。しかしその内訳は、ブルリフTの要素、ブルリフ幻の要素、ブルリフRの要素で綺麗に三等分されていた。今作からでは、やはりブルリフT以外の作品の要素で感情を強く揺さぶられるのは難しいと思う。

 ゲーム1本。アニメ2クール。この積み重ねた時間がもたらす感情があったことは否定できない。というより、確実にある。

 前述の通り、ブルリフTがシリーズ初見であっても問題ないよう配慮されいていることは確かなので、今作からでも問題はないものの、それでも物語の面白さが最悪三分の一、感情移入が得意な方でも半減する可能性があることは知っておいてほしい。*5

 

 

 

【過去作の不満を完全に解消し、昇華した名作】

 

 

 2017年に発売されたブルリフ幻が今年の春、突然再始動し、世に放たれたブルリフRとブルリフT。そして、今後予定されているブルーリフレクション燦/SUN。

 過去作が大好きな方には申し訳ないが、私としてはブルリフ幻とブルリフRは、変えの効かない良いところもあるものの、やはり欠点が目立つ作品だった。

 しかしブルリフTは違う。ここまで素晴らしく、完成度の高い作品は滅多にない。ブルーリフレクションというシリーズは、私の中で化けた。ブルリフTの存在によって。

 私が懸念しているのは、過去作が決して手放しに褒められた作品でないことが、世評として広がっていることである。それが今作の売り上げや評価に暗い影を落とすのではないか……作り手でないにも関わらず、それが心配なのだ。

 ここまで好きになれる作品は本当に滅多にない。ここまで強く感情が動くのは数年に一度の出来事。だからこそ、ちゃんとシリーズが続いてほしい。今作で作り上げた唯一無二の素晴らしい戦闘システムがより洗練され、受け継がれていってほしい。そのためにはやはり、売れることが大前提。売れてほしいのだ。

 

 

 本作にはクリア特典でコスチュームが付属する体験版があるので、PS4やswichを所持している方で、今作が気になる方は是非ダウンロードしてほしい。しかし体験版では、戦闘システムの本質に触れるには短く、物語的な面白さもそこまで加速していない。

 ただ、肌に合うか合わないかの指標程度にはなると思うので、気になる方は試してほしい。

 PC版も十一月に発売予定らしいので、PCゲーマーの方も是非。

*1:補足として、このアニメは作画の評価が極めて低いが、それは私の主観としては誤解であると感じている。作画のレベルが低かったのは最初に公開されたキービジュアルであり、あれは正直私もどうかと思うが、それ以外の作画はむしろ優れていて、安定している。

*2:具体的な変化を挙げると、回復技にリジェネ効果が付与されたり、敵に弱点属性を付与するような技が追加されたりする

*3:ただこの点について一応擁護しておくと、製作者がブルリフ幻の制作において「難易度を低くすることで間口を広げたい」と仰っていたので、その影響なのかもしれない。しかし、それだと今作の中盤まではゲームシステムが複雑に絡み合い機能し、スリリングであったことと辻褄が合わないので、おそらく終盤にかけてバランス調整をミスしたのだと思う。

*4:筆者は数分しか触れていないが、ツイッターではフォトモードだけを遊んでいるようなプレイヤーも散見される

*5:一応記しておくと、私は今年放送のアニメからブルリフシリーズに入り、ブルリフT発売一週間前にブルリフ幻を購入し、ブルリフT発売当日にトロコンした。なのでかなりのニワカファンではあるが、今作は人生に残る一本となった。